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ヤナーチェク、グラゴール・ミサについて語る~その3

ヤナーチェクが死の5ヶ月前に寄稿した文章を訳する。
1927年12月5日のブルノにおける初演の批評が各誌に掲載された。いずれも好意的なものだったが、彼はこの作品が宗教的に解釈されることに強い不満を示している。

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●ヴァーツラフ・カプラール評
(Hudební rozhled「音楽展望」、1928年2月15日)

古代教会スラヴミサのテキストが、ヤナーチェクの独特な語法のための表面的な枠組みに過ぎないことは明白である。この作品で彼は、私には汎神論的とも思える神との関わりを表明している。彼は教会に関わるもの一様に避け、そのかわりに生命力に充ちた自然神が至高なる者へ賛歌を高らかに歌い上げている。ヤナーチェクの典型的な個性である直接性、簡潔性、表現性は、彼の作曲技法の基本によるもので、どれも独特なものである。ミサの導入と終結に置かれたイントラーダは、煌くような管弦楽で民俗色濃く鳴らされるが、これは慣習にのっとった挿入部である。各々の楽章は、みな独創的だが、とりわけクレドが優れている。オルガン叙述的なソロにも引き込まれる。この作品でヤナーチェクが全ての楽器の色彩と表現力を駆使するのには感嘆せざるえない。このミサ曲の独創性は海外でもセンセーションを起こすだろう。合唱について言えば、クヴァピルが指導したブルノフィルハーモニック協会の演奏は全く明晰で素晴らしい。ただし国民劇場のオーケストラはもう少々練習を要するだろう。

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●ルードヴィーク・クンデラ評(※1)
(Tempo;プラハの雑誌「動向」、1928年2月)

グラゴール・ミサには次のような思想的背景がある。ヤナーチェクは老人になり、今や信仰者となり、自分の作品に神との関わりを示す要素が欠けていると切実に感じるようになった。彼以前の多くの作曲家と同様、結局、ミサのテキストが彼の意に最も適ったものになった。このテキストは全く不均一なもので、多彩なムードを醸し出している。すなわち、控えめで沈んだキリエ、歓喜に充ちたグローリア、ドラマチックで感情の起伏の激しいクレド、そしてこのミサでは叙情的な部分であるサンクトゥス、ベネディクトス、アニュス・デイである。
 もちろん、ヤナーチェクが神と出会うのは、聖体顕示台(※2)の光輝や、香のかおりに包まれた移ろいゆく神秘的な薄暮の中ではなく、(これはこの作曲家に特徴的なことだが)屋外をイメージしているのだ。

※1:ルードヴィーク・クンデラ。音楽学者。作家ミラン・クンデラの父。グラゴルミサのピアノ譜を作成している。
※2:太陽を模したカトリックの祭壇具


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●レオシュ・ヤナーチェク寄稿
(Literání svět「文芸世界」、1928年3月8日)

「古代教会スラヴミサ」とは(※3)? 私が「今や敬虔になった老人」といわれているのはご存知だろう。(※4)しかし、私にとってこんな腹立だしいことはない。私は言いたい。「若輩者よ、私は断じて年寄りではなく、信心深くもない。私が認めない限り、そんな言われ方は御免こうむる。」

1928年を迎えたが、私には聖キュリロスと聖メトディオスの精神が失われているように思えてならない。それがチェコスロヴァキア独立10周年の今年に、この作品を捧げた理由だ。実際、私はこの作品を1926年から準備していた。私は、これをルハチョヴィッツェで書き上げた。そこでの作業はつらいものだった。雨がくる日も降り続き、私は毎晩机に向かい、厳格な日課に噛り付いていた。3週間して作品は仕上がった。この作品で私は祖国の永続性への信頼を表明したかった。宗教的基盤ではなく強い道徳的な基礎(それは証人としての神と呼ぶべきものだが)の上に立ちたかったのだ。

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※3:カプラールの評の冒頭の言葉を踏まえている。
※4:クンデラの評を踏まえている。
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