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花岡千春賛

お気に入りのピアニスト、花岡千春の新譜が出た。今回はフランス6人組の紅一点であるジェルメーヌ・タイユフェール、コクトー曰く「耳のマリー・ローランサン」によるピアノ曲集。
どれも可憐な作品で、聴いているうちに肩の力が抜けて笑みがこぼれる心地がする。

フランスの花々 花岡千春 タイユフェールを弾く

花岡のソロアルバムはこれで5枚目となる。これまでリリースされたCDは以下の通り。

②清瀬保二ピアノ独奏曲全集 花岡千春
③子供のために 花岡千春タンスマンを弾く
④花林/雨の道 橋本國彦、信時潔、畑中良輔ピアノ作品集 花岡千春
⑤木の葉集/信時潔ピアノ全曲集 花岡千春

※いずれもベルウッドレコード
 リリースは⑤から①の順。

これらのCDはどれも本当に魅力的で、文字通り座右において繰り返し楽しんでいる。

私が花岡千春のピアノを初めて聴いたのは信時潔のピアノ全曲集だった。このCDは、信時の楚々とした作風に生命を吹き込む花岡のピアニズムが素晴らしいものだった。今時、なかなか出会うことのない上品で慎ましやかな趣味。こういう音楽をもっと聴きたいと思っていたら、その後も着実に録音を重ね、清瀬保二のピアノ独奏曲全集という快挙も達成された。

この人のピアノの色彩的な音色、柔らかな響きはまさにフレンチ・ピアニズムのものだ。しかし、それに日本的な感性(慎ましさ、清潔感、余白への心遣い等)が加わって、洗練された「花岡ブランド」を確立している。これは本場で修業したフレンチのシェフが、和食も研究して独自の一品を生み出すようなものかもしれない。

また、花岡は歌曲や室内楽の伴奏者としても活躍している。 藍川由美による日本歌曲の録音のいくつかで伴奏ピアニストとしての魅力を聴くことができる。そういえば優れた伴奏ピアニストは、大声をあげずにさりげなくアピールする術を心得ているので、ソロピアニストより余程味わい深いことがある。ヤン・パネンカ、ユージン・イストミンなどの名が思い浮かぶが、彼らの誠実な音楽性とも通じるものを感じる。

そして、取上げる曲が凝っていてどれもニッチを衝くものだ。タンスマンや清瀬保二の作品は、もしかしたらベートーヴェンやショパンの作品のように誰が弾いても説得力がある"傑作"ではないかもしれない。しかし、これらの選曲は好事家のマニアックな興味を満たす以上のもので、花岡の知性に照らされた作品はかけがえのない魅力を発しており、これらの優れた演奏は、多くのリスナーやピアニストを新たなレパートリーにいざなってくれるだろう。例えば「信時楽派」を発掘した④など好企画で、声楽界の大御所、畑中良輔による珠玉のピアノ曲にはとても魅了された。

これらのCDの発売元であるベルウッドレコードは、あまり耳慣れないレーベルだが、いずれも録音、ジャケットデザインからライナーノートにいたるまで非常に丁寧に作られていて、総合的に質が高い。これが花岡の個人的な意向なのか、レーベルの方針なのかは分からないが、これならば1枚3000円でも躊躇せず手元における。渋い内容からいってそんなに数を売るCDでもなさそうなので、まるで篤志家のようなビジネスだが、リリースが続いているところを見ると、案外、ファンが多いのかもしれない。

今後も魅力的な録音のリリースが続きますように。
いつかライヴを聴く機会がありますように。
一ファンとして、そう願わずにはいられない
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