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サイモン・ラトル/BPOのドヴォジャーク交響詩集

ドヴォジャーク没後100周年の昨年は、この作曲家の作品を聴く機会が多く、改めてその魅力を発見できました。オーケストラ曲についていえば、有名な後期の交響曲やスラヴ舞曲以外に、初期の交響曲や交響詩なども随分凝ったもので、一般に思われているよりも奥の深い作曲家だと感じています。とりわけ交響詩はもっと演奏されて欲しい傑作ですが、最近、この曲に注目すべき録音がリリースされました。

○ドヴォジャーク:交響詩集(2CD)
 ・交響詩『水の精』op.107
 ・交響詩『真昼の魔女』op.108
 ・交響詩『金の紡ぎ車』op.109
 ・交響詩『野鳩』op.110

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:サー・サイモン・ラトル
(国内盤・輸入盤 EMI)

この作品はチェコの国民詩人、K・J・エルベン(1811~70)の詩集「花束」に基づくもので、その内容はグリム童話のように生々しい残酷さを含んだ民話です。ヤナーチェクはドヴォジャークを敬愛していましたが、この曲には特に影響を受けたようで、「野鳩」のブルノ初演をするとともに、「真昼の魔女」を絶賛する評論も残しています。

私はこれまで、この曲をノイマン/チェコフィルの録音で愛聴してきました。これは緻密なオーケストラビルダーであるノイマンの面目躍如たる名演で、残響豊かなルドルフィウムにおけるチェコフィルの響きが美しいものですが、今回のラトル盤は演出の巧みさという点でノイマン盤以上に優れた演奏だと思います。ラトルのウィット、BPOの自発性に溢れた名人芸が、ドヴォジャークの音楽を隅々まで生き生きと意味あるものにしており、聴いていてとにかく面白い。例えば「真昼の魔女」は、頑是ない子供を母親が叱り「おまえなんか魔女に連れて行かれればいい」と叫ぶと突然魔女が現れ、子供の魂を奪い去っていくという筋なのですが、いたずらっ子と怒った母親の掛け合い、あたりが不穏に変わるなかでの魔女の登場、子供を失った母親の嘆きなど、場面の展開と描写が実に鮮やかです。こうして聴いてみると、いまさらながらドヴォジャークの豊かな楽想と練達なオーケストレーションに唸らされます。

なお、国内盤には、関根日出男先生による詳細な曲目解説とともに、この曲の基となったエルベンの詩が訳出されています。音楽は詩の雰囲気をよく反映したものなので、詩を読むと曲の味わいがいっそう深まるでしょう。例えば、娘が水中の住む妖怪ヴォドニークに誘拐されてしまう「水の精」の冒頭、不安な旋律が繰り返され高まっていく音楽の元になった詩の一部を以下に抜粋します。

翌朝、乙女は早起きし
洗い物をひとまとめ;
「母さん、湖へ行って、
スカーフを洗ってくるわ」

「ああ、湖へなど行かず、
きょうは家にいて!
ゆうべ悪い夢を見たから;
娘や、水辺に近づかないで。

夢で真珠を選んでやり、
お前を真っ白に着飾らせた、
スカートは水の泡そのもの; 
娘や、水辺へ行かないで。 

白いドレスには悲しみ、
真珠に秘められるは涙、
金曜は不幸な日: 
娘や、水辺へ行かないで」・・

娘はなすすべもなく、
たえず湖へと駆られる、
たえず何かにせかされて、
家には娘を惹きつける物はない・・

「水の精」(ヴォドニーク Vodník)より 関根日出男訳
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