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ハイティンクの『イェヌーファ』

昨年に比べヤナーチェクに目ぼしい録音が少なかった2002年ですが、ようやく年末になって素晴らしい録音が登場しました。

○ヤナーチェク:オペラ「イェヌーファ」(輸入盤:ERATO)
ベルナルト・ハイティンク指揮 コヴェントガーデンo.
カリタ・マッティラ、アニャ・シリァ、エヴァ・ランドヴァー他
(2001年10月ライブ)

主役の二人、イェヌーファ役のカリタ・マッティラとコステルニチカ役のアニャ・シリァが期待通りの素晴らしい歌唱を聴かせます。アニャ・シリァは1989 年にグラインドボーン音楽祭でコステルニチカを歌った映像が既にリリースされていましたが、ここでも存在感のあるコステルニチカを”演じて”います。

例えば、1幕でイェヌーファに小言を垂れるアリアでは張り詰めた威厳により場の雰囲気ががらりと変わるのを感じますし、その後、結婚を望むイェヌーファとの2重唱も緊張感に満ちています。そして、もちろんコステルニチカが嬰児殺しを決意をする2幕5場の見せ場「ちょっとしたら」は圧巻ですが、私が印象に残ったのは、その前のコステルニチカがシュテヴァに傷物の娘をもらってもらおうと哀願するシーンで、ここの切々とした訴えには思わず涙しました。

低く深みのある声質のソプラノ、カリタ・マッティラは、憂いとともに大きな慈愛を含んだイェヌーファを細やかに表現しており、コステルニチカとの性格的な 対比が明確になっています。この対比こそがこの悲劇の重要な要素だと思われますが、この演奏では、それが二人の強烈な個性によって、これまで聴いたことの ないほどに彫りの深い陰影に富んだものになっている点が注目されます。脇についてもシュテヴァが若干弱いと感じられる他はランドヴァーをはじめとして良く歌っています。

ハイティンクは、ヤナーチェク独特のせっかちな繰り返しのフレーズを鋭く強調するよりは、落ち着いたテンポ運びでしっとりと歌わせることで、各声部を掘り起こしてコクのある音楽を聴かせています。実に丁寧な音楽作りです。コヴェントガーデンのオケは質感のある味わい深い響きで特にヴァイオリン・ソロの美しさが印象に残りました。

今回の演奏は、マッケラス盤と同様の1908年ブルノ版(ウニヴェルザル)によっています。リブレットは舞台写真が掲載された丁寧なつくりです。イェヌー ファは、近年、小澤、ガーディナー等、チェコ人以外の大物指揮者による演奏機会も多いので、いつか是非聴き比べてみたいものです。
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