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チッコリーニ、イタリアの名器ファツィオーリを弾く

先日、巨匠アルド・チッコリーニ(1925年生)が札幌、東京、栗東で来日公演を行い、お気に入りの名器、 FAZIOLI(ファツィオーリ)を 弾きました。私は札幌公演を聴いてきました。

○10月8日 Kitaraにて
 ドビュッシー: 前奏曲集第2巻
 ショパン: 2つの夜想曲Op.62
 ショパン: ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調Op.58

熱狂的なチッコリーニ・ファンを自認する私にとって、彼の実演に初めて接する この日を心待ちにしていましたが、期待以上の素晴らしさでした。 まさに百聞は一見にしかず。 私がこれまでCDで味わってきたチッコリーニは、その魅力の一端にすぎなかったことを思い知らされる、強烈な音楽体験となりました。

チッコリーニのピアノは、録音では、明晰で切れ味鋭い面ばかりが強調されがちですが、 実演では、それと同時に、一音一音、光輝く和毛(にこげ)におおわれているような 柔らかさと温かみが感じられます。 技巧的にも完璧で加齢による衰えは微塵も感じられません。 ドビュッシーにしろショパンにしろ、曲自体が本来もっている刻々と うつろいゆく響きの魅力が最大限発揮された演奏だったと思います。

そしてファツィオーリの音の充実感! 清明、上品にして多彩。煌くような高音は期待通りでしたが、 予想外だったのは中音域が艶かしいこと。 個性の強い、なんとも貴族的な楽器でした。

しかし、音色の妙に酔いながら、この快楽はやはりライブでなくては味わえないだろうと嘆息してしまいました。 単に音がきれいとか、技巧が凄いとかいうことではない、研ぎ澄まされた共鳴音により一種の空気を醸し出すような名人芸。これは決して録音にとらえきれない ものでしょう。所詮、CDでは、彫刻を写真で鑑賞するようなもの。残念ながらこれがチッコリーニがいまひとつ我が国ではマイナーな理由かもしれません。ふたたびライブに接したいという思いがますます強くなりました。

一見、無愛想な中にちょっぴり茶目っ気を滲ませながら、恭しく聴衆の歓声に応えた後のアンコールも飛び切り楽しいものでした。
・エルガー:愛の挨拶
・ロッシーニ:「老年の過ち」より『小さな奇想曲』
・ファリャ:火祭りの踊り

これはとても老ピアニストが弾くようなアンコール曲じゃないですね。 本当に老いて深まりこそすれ枯れない人です。

****

会場で購入したモーツァルトのCDも大変よいものでした。モーツァルト・プロの東京公演もさぞかし素晴らしいものだったでしょう。

○モーツァルト:ピアノソナタ 4, 5, 14, 幻想曲
 アルド・チッコリーニ(ピアノ)
 Arcobaleno AAOC94412

モーツァルトのピアノ曲はなかなか満足できる演奏が少なく、正直少々苦手でした(例外はアラウ盤)。やはりこれはピアノというより本来フォルテピアノの響きを想定した曲なのでしょうが、フォルテピアノで 聴くと音色は面白いが表現の幅に限界を感じてしまいます。

だが、このCDは本当に面白い。ベートーヴェン的な要素とハイドン的な要素がフォルテピアノ風の響きの中で生きていて、アルペジオの鳴らし方など、こう でなくっちゃという軽やかさと茶目っ気があります。正直、モーツァルトがチッコリーニの”共鳴の美学”にこうもはまるとは予想していませんでした。それ に、これはチッコリーニのCDの中でも、録音の良いものだと思います。
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