スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東京交響楽団の「死者の家から」

先週末、上京し、東京交響楽団による「死者の家から」の日本初演を聴いてきました。東京交響楽団は1997年(本ページが開設した年!)以来、2年毎にヤ ナーチェクのオペラをとりあげてきましたが、今回は「利口な女狐の物語」「カーチャ・カバノヴァー」に続いて三回目。簡易な舞台を設けチェコ人歌手が舞台 衣裳をつけて演じる一方、合唱席には日本人歌手と合唱がコンサート形式で演奏するというセミステージの形式の上演です。

○12月13日(土) サントリーホール
東京交響楽団 第509回定期演奏会
指揮:秋山和慶
ゴリャンチコフ:リハルド・ハーン(Br)
アリェヤ:イヴァナ・シャコヴァー (S)
ルカ:シモン・ショモライ(Br)
スクラトフ:アレシュ・ブリツェイン(T)
シャプキン:ゾルターン・コルダ(T)
シシコフ:イジー・クビーク(Br)
大男の囚人:伊達英二(T)
小男の囚人:大久保光哉(Br)
司令官:鹿野由之(Br)
見張り番、チェレヴィン:松永国和(T)
老いた囚人、ケドリル:羽山晃生(T)
鍛冶屋の囚人、ドン・ファン:塩入功司(Br)
神父、チェクノフ:畠山茂(Br)
売春婦:安井陽子(S)
男声合唱:東響コーラス
合唱指揮:アントニーン・キューネル
演出:マルティン・オタヴァ

傑作の日本初演に相応しく 、オケ、歌手、合唱とも、気迫のこもった演奏を聴かせてくれました。終始、途切れることない緊迫した響きの中に、ときおり垣間見せる濃厚なロマンチシズム のコントラスト。昨今の国際化したヤナーチェク演奏では、20世紀オペラとしての表現主義的な鋭さが強調される一方、土臭いロマンチシズムは薄められる傾 向にあると私は思っているのですが、この日の演奏は、両者が絶妙にバランスし大変コクのある音楽を生み出していたと思います。これぞヤナーチェクの魅力で す。悲願達成。まったく感激しました。

やはりこの公演の主役はなんといってもオーケストラ。東京交響楽団は冒頭の序曲から並々ならぬ集中力を感じさせ、特に2幕の雄弁なパントマイムの音楽と3 幕のシシコフはアリアの抒情味は格別でした。要所要所で心に沁みる歌を聴かせたコンマスの方のヴァイオリン独奏の功績は特筆すべきでしょう。

歌手は1幕のルカの戦慄的なアリアのみが少々物足りなかったくらいで、皆安定した歌いぶり。ベテランのハーン、爽やかな美声のシャコヴァー、そしてコルダ のシャプキン、クビークのシシコフが特に印象に残りました。そして一様に演技が上手いこと!日本人歌手や合唱も性格的な歌唱を巧みにこなし、私が聴いた限 り第一音節にアクセントが来るチェコ語の前のめりな発音も随分こなれていたように思えます。慣れない言語を歌う時の煮えきらず、ぎこちない感じは全くあり ませんでした。

今回は、作品の性格もあって字幕の台詞では内容が判りにくく、これは今後の上演では工夫が必要でしょう(おかげで会場で当会の対訳書がよく売れました が)。セミステージ形式の演出は今回も簡易な舞台セットながら効果的でした。ただ、一部の日本人キャストは演技をさせても良かったのではないでしょうか (例えば所長とゴリャンチコフのやり取りは分かりにくい)。それから、2幕のパントマイムは活き活きとした演技で、音楽ともよく合っており、大いに楽しめ ました。

とにかく全ての面で非常に充実した質の高い演奏会でした。チェコ国内ですら決して有名とはいえないこの作品をこれだけの水準で演奏するには大変なご苦労が あったことと推察します。東京交響楽団および関係者の皆様、本当にありがとうございました。
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

Pilsner

Author:Pilsner
発話旋律 "Speech Melody"
日本ヤナーチェク友の会公式サイト管理人Pilsnerのブログ
チェコ音楽を中心にした音楽雑記帳です。
The blog by the chief manager of Janáček Association Japan
http://twitter.com/#!/janacekjapan

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

Visitors
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。