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エリシュカ&N響の「我が祖国」

頼みのDoblogが2月8日以来、長期障害に陥り、すっかり調子が狂ってしまったが、この演奏会の報告はテレビ放映前にしておかなければ。

NHK交響楽団第1640回定期
2009年2月8日 15:00 (NHKホール)
ラドミル・エリシュカ指揮 NHK交響楽団
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」(全曲)

エリシュカは、これまで同様、オケを明晰なタクトできっちりと引き締めつつ、しなやかな呼吸感により叙情的に歌わせる。こちらが拍子抜けするほどに誇張した表現はなく、劇的なタボールやブラニークでも決して煽り立てない。しかし、力まずとも弦も管もバランス良く鳴り響くので、物足りなく思わせることがないのは流石だ。以前、エリシュカのモーツァルトを出汁の旨さと麺の食感のみで勝負する素饂飩に例えたが、この大曲でもそんな特長は発揮されていた。

例えば最後にヴィシェフラッドのモチーフが再現される部分、多くの指揮者がここぞとばかり劇的に大曲ラストを盛り上げるのだが、エリシュカの場合、しみじみと回顧するような歌い方だった。しかし、それでいてアンチクライマックスにならず、音楽の流れがとても自然なのだ。

そして、何といっても札響との「シェラザード」で聴かせたような響きの色彩感が素晴らしい。例えば「ヴァルタヴァ」や「ボヘミアの牧場と森から」では随所にハッとさせられるような美しい響きの発見があった。「シャールカ」の中間部の甘美な味わいは、まるでマーラーのようだった。

N響はさすがに優秀なアンサンブルで、各奏者ともニュアンスに富み安定感がある。札響のようなチェコっぽく鄙びた味こそないが指揮者の要求によく応え、良好な関係をうかがわせた。これもまた魅力的なカップリングだと思う。

正直なところ、これまで「我が祖国」が積極的に好きかというと微妙だった。充実した傑作であることは認めつつ少々鼻白むものを感じていた。しかしそれでも、この曲はチェコ音楽の定番なので様々な演奏を聴いてきた。それらの中でも今回のエリシュカの演奏はユニークなものといえる。チェコ人としての作品への共感は十分感じられるが、それは主情的に表されるのではなく、むしろオケの響きが醸し出す詩情により聴き手にイメージを喚起させる音楽作り。ちょうど昨年、札響定期で聴いた小林研一郎とは正反対のスタイルだ。今回、エリシュカの「我が祖国」を聴き、なるほどこれは見事な「交響詩」なのだと納得し、この曲にまとわりついていた民族意識高揚のためのプロパガンダといった印象が濯がれたように思った。

演奏後は聴衆、楽員から暖かい拍手が続き、マエストロはとても幸福そうだった。大阪では故障していた足もすっかり良くなった。この日の唯一の不満は会場がNHKホールだったこと。これがkitaraなら会場中に芳しいエアが充満したろう。

この演奏会の模様は近日、NHKで放映される。是非、ご覧いただきたい。
3月1日(日) 21:00 教育テレビ N響アワー (「我が祖国」抜粋、インタヴューあり)
3月6日(金) 10:00 BS2 N響定期演奏会 (「我が祖国」全曲)
3月16日(月) 9:00 BShi N響定期演奏会 (「我が祖国」全曲)

マエストロは、初来日から5年目にして桧舞台で成功を収め、いまや「幻の」「無名の」という枕詞を不要とした。
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