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クルターグの合唱作品集

またもやルーマニア生まれの現代作曲家、ジェルジ・クルターグ(1926-)のこと。
昨年末にクルターグの合唱作品集がHänsslerからリリースされました。

ジャルジ・クルターグ:合唱作品全集
①ルイジ・ノーノの思い出に Op.16 ~無伴奏混声合唱のための
②デジェー・タンドリの詩による8つの合唱曲 Op.23 ~無伴奏混声合唱のための
③絶望と悲しみの歌 Op.18~器楽つき混声合唱のための6つの合唱曲
 シュトゥットガルトSWR声楽アンサンブル
 マルクス・クリード(指揮)
 アンサンブル・モデルン③
 録音時期:①②2006年6月28-30日、③2006年3月20-23日
 録音場所:シュトゥットガルト、SWRヴィッラ・ベルク
(輸入盤 Hänssler)

これらは1980-90年代に書かれた大作で、もちろんこれが初録音になります。このCDには、"Complete(全集)"と謳われていますが、HUGAROTONのアルバムには1950年代に書かれた民謡調の小品が収録されているので、ここに未収録の合唱作品は他にもあるのかもしれません。

①②はア・カペラで、ルイジ・ノーノに捧げられた①はハンガリー在住のロシア人、リンマ・ダロス(Rimma Dalos)のテキストによる作品。クルターグはこの詩人がお気に入りらしく他にもダロスの詩に基づく作品(「亡きR.V.トゥルソヴァのメッセージ」「小説からの情景」等)を書いています。②はデジェー・タンドリ(Dezso Tandori)によるハンガリー語のテキストによる作品。

③は複数のロシアの詩人(Mandelstam, Akhmatova and Tsvetayeva)のテキストによる作品で、4台のアコーディオンと2台のハルモニウムを含む一風変った編成をとっており、これらの器楽と声楽が寄り添って微分的に動く音楽は随分ユニークな響きです。

演奏者のマルクス・クリード指揮、シュトゥットガルトSWR声楽アンサンブルは、驚異的に上手く、研ぎ澄まされた密度の高い音楽を聴かせます。昨年2月にブダペストで行われた生誕80年記念演奏会では100回を超えるリハーサルが行われ、そのうち65回が合唱曲に費やされたとのこと。彼らは、その時の演奏者ではありませんが、おそらくこの録音の際にも作曲家自身から相当入念な指示を受けたのでしょう。この合唱において声と言葉はきわめて明晰で確かな質感をもって響き、時に民謡調、時にユーモラスにと表情を変えながら、隅々まで有機的な美しさが持続します。(※さわりはAmazon.comで試聴できます。)

昨年DVDでリリースされたユディット・ケーレのドキュメンタリーフィルム「マッチ棒男」は、この作曲家の人柄がよく表れた大変興味深いものでした。現代音楽の巨匠というと、ブーレーズのような鋭い知性でアグレッシヴに語るインテリさんを想像してしまいますが、この映像で観るクルターグは、誠実さと不器用さが同居する、浮世離れした数学教師のようでした。この人の作品は、これら合唱曲も含めどれも非常に個人的なものの発露のようで、ラストシーンでポツリと漏らす一言が耳に残りました。

「どう言ったら良いだろう。(私にとって作曲とは)天職とか使命とかいうのでなく、朝、気持ちよく目覚めるための理由とでもいうのだろうか。この身にふりかかる諸々の事から自分の人生が自由でありたいのです。」

アムステルダム在住の日本人奏者、菊地裕美氏(vn)と波木井賢氏(va)のために書かれた最新作<コンチェルタンテ ヒロミとケンへ/Concertante for violin , viola solo and orchestra Op.42>( 2003 作曲 2004年9月コペンハーゲン初演>、<ヒ・パルテイータ(ヒロミへのパルテイータ)Hipartita Op.43 >(2000-2004年作曲 2005年9月 ベルリン・フィルハーモニー初演>の録音のリリースも待ち遠しく感じます。多分、これまで同様にECMから出るのでしょう。この作品についてはクルターグと親交のある降矢美彌子氏のページに最近、新情報がアップされました。ヨーロッパでは絶賛を博しているようだが、日本初演はいつのことだろうか。

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