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METライブビューイング、ドニゼッティ『ロベルト・デヴェリュー』に興奮!

METライブビューイングのドニゼッティ『ロベルト・デヴェリュー』を観てきました。ヴェルディやプッチーニはともかく、普段あまりイタリアオペラを聴くことがないのですが、イングランド女王エリザベス1世が登場するテューダー朝三部作のラストと聞き、劇場に足を運んでみました。

物語はやはり三角関係。エリザベス1世(エリザベッタ)の寵臣、エセックス伯ロベルト・デヴェリューは、反逆の罪に問われ逮捕される。女王は、年下の情夫でもあるロベルトの有罪判決を渋るが、反逆以上に心変わりを疑い愛憎半ば。実はロベルトは、かつての恋人、今は親友ノッティンガム公爵の妻であり女王の侍女でもあるサラに思いを寄せていた。ノッティンガム公はロベルトの助命を嘆願し、女王はロベルトの心変わりに怒りながらも処刑に同意したくない。サラはロベルトに逃亡を勧め、彼に別れの記念にと刺繍のスカーフを渡すが、それを逃亡中に押収され二人の関係が露見。ノッティンガム公は友の裏切りに怒り、サラは無実を訴え、遂にロベルトは処刑され、女王は嘆き、とまあこんな筋です。

ソンドラ・ラドヴァノフスキーのエリザベッタ、エリーナ・ガランチャのサラ、マシュー・ポレンザーニのロベルト、マリウシュ・クヴィエチェンのノッティンガム公爵、この4人の強力なベルカント歌手がハイテンションでずっとやり合っているようなオペラで、『イル・トロヴァトーレ』並に熱い作品でした。でもドニゼッティだから深刻な場面でもドイツオペラのようにくすんだ陰鬱さはないのですね。基本は長調、ただただ強烈なベルカントの応酬でぐいぐい畳みかける。

歌手は歌唱も立派だが演技も見事でした。とりわけ女王のソンドラ・ラドヴァノフスキーが素晴らしい。女王は情夫の裏切りを憎み、彼を容易に処刑できる権力を持ちながら、彼を失うことを怖れる孤独な立場。この凄味と弱さを両面備えた激しい歌唱で、最後には権威も何も失ってボロボロになって譲位する。実にドラマティックです。ベルカントがこういう芝居でこれほど劇的効果を発揮するとは正直思っていませんでした。モダンな作品のようにドラマのリアリズムを追求するよりも、歌舞伎のような様式的な面白さを感じました。

マシュー・ポレンザーニは甘く強靭な美声で丁寧な表現をするテノール、エリザベッタとの掛け合いには興奮しました。ラトビア出身のメゾソプラノ、エリーナ・ガランチャはモデル並の美貌と共に太く深々とした声質による貫禄の歌唱が印象的で、もっと色々聴いてみたくなりました。マリウシュ・クヴィエチェンも力強い歌唱で性格的な演技も良かった。加えてメトのオケが優秀で、老練なイタリア人指揮者のマウリツィオ・ベニーニが煽る煽る。とても痛快な舞台でした。難曲だけにドニゼッティの中ではあまり上演機会のない作品で、私もこれまでタイトルすら知らず、メトでもなんとこれが初演だそうですが大傑作ですね。演出は劇中劇という形を取っており、美術・衣装は贅を尽くした壮麗なもので見応えがありました。DVD化が待たれます。

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