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シベリウス入門

シベリウスは、長年、波長の合わない作曲家でした。抒情的で牧歌的な旋律、透明感のある心地よい響き。聴いていて不快になる要素は何も無いのだが、臆面もなく長い呼吸の音楽に少々鼻白むような印象をずっと持っていました。

私の知人には熱烈な北欧好きが多く、シベリウスの作曲年代はヤナーチェクと重なるため、北欧音楽と中欧音楽との比較という点でも、彼の音楽には興味があり、以前から名曲の誉れ高い交響曲くらいは理解したいと、幾度とトライしていました。しかし、なかなか腑に落ちず、ヤナーチェクのような、せっかちで呼吸が短い音楽を愛好する自分には縁がないのかと思っていました。しかし、最近になってようやっと耳に馴染んできました。

きっかけはNAXOSによるペトリ・サカリ盤です。これはアイスランド(!)のオケの響きの素朴な味が好ましく、初心者にも比較的分かりやすい解釈のように思えます。この冬は、この録音をiPodに仕込み、片道徒歩20分の通勤時、雪道と寒風に耐えながら、毎日、繰り返し聴いていました。お陰で、寒さがゆるむ3月には、私もシベリウス・ファンの仲間入り。確かに4番以降の交響曲は充実していますね。

●シベリウス:交響曲1~7番/ペトル・サカリ指揮、アイスランド響(NAXOS)

これを皮切りに、幾つか録音を聴き漁っています。シベリウスの音楽の味わいは、構造的・造形的なものより、響きのニュアンスによっている部分が大きいため、演奏により随分と印象が変わり、その分、聴き比べの楽しみが大きいようです。

例えばカラヤン盤(EMI)で聴くと後期ロマン風もったりと響く音楽が、コリン・ディヴィス盤(RCA)だと、爽やかな繊細さが際立ち、まるで別物のよう。シベリウスも含め北欧音楽はとにかく「透明感」がキーワードとして語られますが、カラヤン、ディヴィスとサカリのそれでは、当然ながら随分種類の違う印象。中欧音楽はまた違う、北欧独特の質感のバラエティが面白く、ただいま初心者ならではの発見を楽しんでいるところです。

当初は、シベリウスと言えばお国モノのべルグルンド盤(EMI)がスタンダードな演奏と思い、入門盤として何度か聴いていましたが、私には、どうも精彩を欠いた退屈な音楽のように思われました。今にしてみれば、ベルグルンドの演奏は入門者には少々分かり難いものかもしれません。シベリウス節に馴染んだ今、改めて聴くとカラヤン盤とは対照的な色気も素っ気ない質朴さに魅力を発見し、自分でも驚きます。これだから音楽を聴くと言うのは案外難しい。

そして、目下、最もお気に入りが渡辺暁雄&ヘルシンキ・フィル。これはよく言われる「北欧独特の透明感」といったイメージから大分違った渋い響きで、格調の高さは比類が無いものです。この録音は高名なシベリウス指揮者、渡邊の録音の中でも特に定評ある大名演とのことですが、今更ながら音楽家の品格に背筋が伸びる思いで聴きました。

●シベリウス:交響曲第4番、第7番 渡邊暁雄&ヘルシンキ・フィル(TDK 1982年ライヴ)

渡邊暁雄のシベリウスを聴くと作風は全く違うがブルックナーに近いものを感じます。どちらも田舎者の特異なスタイルと無防備な純情が昇華した例とでもいうのでしょうか。どちらも一度好きになるとはまり込むが、理解するまでは少々難物なのかもしれません。ヤナーチェクも強烈な田舎者ですが、こうした他に似たものがない作風の音楽を理解するには、幸運な機会と直感による他ないのでしょう。
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