スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

下野&札響の「ドイツ音楽」特集

3月になり大分春めいてきたと思ったが、先週土曜の札幌はあいにくの雪模様。今年度最後の札響定期に行ってきた。

第547回札幌交響楽団定期演奏会

2012年3月3日(土) 15:00-
札幌コンサートホールKitara

演奏:札幌交響楽団
指揮:下野 竜也
ピアノ:デヤン・ラツイック
コンマス:伊藤 亮太郎

曲目:
ブラームス:ピアノ協奏曲 第3番(原曲:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 ラツイック編)
ブルックナー:アダージョ(原曲:弦楽五重奏曲 ヘ長調 スクロバチェフスキ編)
ヒンデミット:交響曲 「画家マティス」

変化球だらけの凝ったプログラム。キーワードは「編曲」だ。
下野は評判が良く、盟友アリス氏がいつも絶賛しているので気になっていた。実演に接するのは今回が初めてだ。下野はプレトークで選曲の妙について語っていて大変面白かった。

ブラームスのピアノ協奏曲第3番(本来は2番までしかない)は、ラツイック自身がヴァイオリン協奏曲をピアノ用に編曲したもので、アトランタ交響楽団とのCDも出ている。オケのパートはそのままだという。線的に歌われるヴァイオリン・ソロを鍵盤でやるのだから当然無理があるのだが、ラツイックはピアニスティックな技巧を駆使して効果的に聴かせていた。結果、原曲の渋くロマンチックな味わいよりも、ピアノとオケが細かに掛けあうアンサンブルの面白さが際立った。ピアノも上手いが、それに対するオケの反応も良く、小技の応酬が楽しい。ザグレブ生まれの気鋭、ラティックは華やかなタッチのピアニストで、かなり腕が立ち、こういうあざといことをやっても嫌味がない。シプリアン・カツァリスのような個性で、編曲の妙を楽しんだ。

一方、ブルックナーの「アダージョ」は、編曲とは思えない程にこの作曲家らしいもの。6番や8番交響曲の緩徐楽章を思い起こさせる。ブルックナー節は、室内楽曲でも交響曲でも基本的に一緒だからかもしれないが、違和感なく浸ることができた。こうして聴くと、札響の弦は厚みが増して本当に良くなったと思う。ホールの空気に溶ける澄んだ高弦が美しく、中間部の低弦の歌が沁みた。終演後、相変わらず吠えるようなブラボー屋がいて閉口したが。

そしてヒンデミットの交響曲「画家マチス」。これも大好きな傑作だが、なかなか実演を聴く機会は少ない。作曲者自身によるオペラからの編曲というのが、今回の選曲の理由だ。大変ユニークなオーケストレーションで、ゴシック建築にように積み上がる対位法的な音楽は、ナチスが批判した「ユダヤ性」よりむしろ正統的なドイツ調でユダヤ的な粘っこさは薄い。こうしてプログラムを眺めると、今回の選曲は、かなりひねた「ドイツ音楽」特集ともいえる。

下野は、各パートを膨らみのある呼吸で立体的に鳴らし、きっちりと組み上げる。これにはモダンな味わいとロマンチックな風格が両立していて、若いのにちょっと日本人ばなれしたところがある。特に気付いたのは、そうした指揮のもとで管が魅力的に鳴っていること。管の場合、呼吸に膨らみがあると特に調子がいいのだろう。札響は個性的な音色の名手がいて素晴らしいソロを聴かせてくれることも多いが、時に響きが平板になることもある。今回は木管、金管ともに伸びやかで、とりわけフルート、オーボエが素晴らしかった。

客入りは、悪天候もあり6割ほどか。内容が良かっただけに、ちょっと寂しい。


ところで、今月21日、恒例の札響の東京公演がある。
昨年、チクルスで聴いた尾高のベートーヴェンは、潔いほどに正攻法に徹したものだった。この公演は札響の今を聴くには最も相応しいものだろう。在京の音楽ファンには是非ともおすすめしたい。

ホクレン・クラシック・スペシャル
札幌交響楽団東京公演


日時:2012年3月21日 (水) 19:00 開演 (18:30 開場)

指揮 : 尾高 忠明
管弦楽 : 札幌交響楽団

場所:サントリーホール

曲目:
ベートーヴェン : 交響曲第7番 イ長調 op.92
ベートーヴェン : 交響曲第5番 ハ短調 op.67
http://www.sso.or.jp/concerts/2012/03/post-111/
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

Pilsner

Author:Pilsner
発話旋律 "Speech Melody"
日本ヤナーチェク友の会公式サイト管理人Pilsnerのブログ
チェコ音楽を中心にした音楽雑記帳です。
The blog by the chief manager of Janáček Association Japan
http://twitter.com/#!/janacekjapan

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

Visitors
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。