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サー・ローランド・ハナ賛

Roland Hanna_R1

このところジャズ・ピアニスト、サー・ローランド・ハナ(Sir Roland Hanna, 1938-2002,米国デトロイト生)の録音を聴き漁っている。

一音一音が丸くしっかりと響くハナのピアノには気品と思慮深さがあり、米国の良き時代を感じさせる粋と薫りが演奏に滲んでいる。ピアノ好きなら誰でも、音色の個性に惚れ込み、何を弾こうと聴きたくなるピアニストがいるものだ。私にとっては、アラウ、チッコリーニ、コルトー、タリアフェロ、メイエ、プレスラー等がそれにあたるが、このリストにハナの名も加えたいと思う。

このピアニストを知ったきっかけは、大阪でジャズ・クラブ OverSeasを経営されている寺井珠重さんのブログだ。寺井さんとは、チェコのジャズ・ピアニスト、エミル・ヴィクリツキー(Emil Viklicky)が昨年来日した時以来、ネットを通じて交流がある。寺井さんは生前のハナと親交があり、寺井さんのお店に出演されたこともあったという。寺井さんは、没後9年目にしてリリースされたハナの新譜について絶賛していた。

新譜: Sir Roland Hanna 至福のソロを聴こう!
http://jazzclub-overseas.com/blog/tamae/2011/08/-sir-roland-hanna.html

私とジャズの付き合いはそう深くないので、このピアニストをジャズ史における位置づけを踏まえて比較的に語ることはできないが、一つ言える特徴はとてもクラシカルだということだろう。偏見かもしれないが、一般的にジャズピアニストは、ジャズの語法で表現するためリズムのキレを追求し音色の幅を絞る傾向があるという印象をもっている。そこが私のようなジャズ的語法に疎い者からすると、いささか馴染みにくく感じるのだが、ハナの音色豊かなピアニズムはそんなクラシック・ファンにもとっつき易いだろう。

それもそのはずで、ハナはクラシック音楽と関わりの深い音楽家だ。ハナは、幼少から音楽的才能を示し、クラシック教育を受けると共に、当時活気のあったジャズ音楽から刺激を受けた。少年時代を過ごした40年代のデトロイトは、自動車産業の隆盛により文化的にも栄え、ジャズ音楽家とともに、ナチの迫害を受け米国に亡命してきたヨーロッパの音楽家達が演奏者・教育者として集まっていた。そんな時代、ハナはルービンシュタインやラフマニノフの実演に接し虜になったという。彼はジャズとクラシックの2足の草鞋を履きながら成長し、ジュリアード音楽院でクラシック教育を修め、50年代のニューヨークでジャズ黄金期の最後の空気を吸いジャズの道に進む。ベニー・グッドマンに認められツアーに参加したこともあるという。






ハナは、ジャズ界では少々地味な存在なのか日本語版のWikipediaにすら記述がないが、その生涯については寺井さんがブログに詳しく記している。

サー・ローランド・ハナ伝記 (1) ビバップ・ハイスクール
http://jazzclub-overseas.com/blog/tamae/2008/02/-1.html

サー・ローランド・ハナ伝記(2) 真実一路
http://jazzclub-overseas.com/blog/tamae/2008/02/2-2.html

ハナは、ソロやトリオ等、多くの録音を残している。それらは録音年代の古いものから新しいものまで安定した内容でハズレがないが、寺井さんが特に薦めるのは以下の2点である。ともにソロアルバムだ。

Ellington Piano Solos
http://www.amazon.co.jp/Ellington-Piano-Solos-Roland-Hanna/dp/B000000FMD/

Round Midnight
http://www.amazon.com/Round-Midnight-Roland-Hanna/dp/B00005Y8P6/

このうち、デューク・エリントンを弾いた盤は、色彩豊かな音色がエリントンのリリシズムを見事に際立たせている。往年の空気を感じさせる洒脱な呼吸の演奏に、まるでラローチャのアルベニスのような味わいを感じた。

個人的なお気に入りは、夢にちなんだスタンダード曲を集めたトリオ作品集「ドリーム」だ。ここでもハナは慎ましやかだが何気に気の利いたアンサンブル感覚を示し、心憎い程に趣味が良い。

ドリーム
http://www.amazon.co.jp/ドリーム-初回プレス限定-ローランド・ハナ・トリオ/dp/B00005OOB1/





ハナは、デトロイト派の巨匠と言われる。デトロイトというと寂れた工業都市というイメージしかなく意外だが、米国には戦前のヨーロッパの伝統が脈々と受け継がれており、私の大好きなボザール・トリオの演奏など聴くとそうしたことを強く意識する。先日読んだ「二十世紀の10大ピアニスト」(中川右介著)にも、大戦中に米国に逃れた巨匠たちの活動と出会いが描かれていたが、そうした事情がジャズにも反映していることは興味深い。

ハナを聴いていると、ジャズの語法にも慣れ、近頃は同じくデトロイト派の巨匠であるトミー・フラナガンも耳に馴染んできた。ジャズ・ピアノの世界も奥深く楽しいので、色々聴いてみたい。
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