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プラジャーク弦楽四重奏団、そしてレメシュ氏のこと

弦の国チェコには優れた弦楽四重奏の伝統があり、数多くのカルテットが存在する。その中でも、私にとり特に思い入れの深いのがプラジャーク弦楽四重奏団だ。

プラジャーク弦楽四重奏団の特色は、各奏者がソリスト並の技量と個性を備え、質・量とも充実した音で彫りの深いアンサンブルを聴かせることだろう。第1ヴァイオリンのヴァーツラフ・レメシュ氏の愉悦感に溢れた弦の表情と、その個性を着実にサポートするヴラスチミル・ホレク氏の安定感、ヨーゼフ・クルソニュ氏の懐深いヴィオラにミハイル・カンカ氏の質感のあるチェロ。彼らが活き活きと演奏する様を観ているだけでも清々しい気分になれた。プラジャーク(Pražák)とは「プラハっ子」という意味である。プラハ弦楽四重奏団という名門カルテットがあったが、プラジャークには、こうした往年の団体のチェコ的な性格に加えて、その名の通りモダンで人懐っこく元気の良い表現性があり、その特長はヤナーチェクの作品で特に有利に現れていたように思う。



私が彼らを知ったのは、1997年に録音したヤナーチェクのCDからで、これを初めて聴いたときには本当に驚嘆し、いまだに愛聴している。これは1998年フランス・ディアパゾン・ドール室内楽部門年間最優秀賞を受賞している名盤だ。

プラジャークのヤナーチェク

●ヤナーチェク室内楽作品集
レオシュ・ヤナーチェク:
(1)弦楽四重奏 第1番「クロイツェル・ソナタ」
(2)ヴァイオリン ソナタ
(3)弦楽四重奏 第2番「内緒の手紙」
 プラジャーク弦楽四重奏団、萱原祐子(pf)
 Harmonia Mundi Praga (フランス)


この録音で、プラジャーク弦楽四重奏団と共演している榊原(旧姓:萱原)祐子さんはチェコの名ピアニスト、ヤン・パネンカに師事した方で、その骨太な個性と優れたアンサンブル感覚はプラジャークのメンバーに高く評価され、彼らと度々共演している。

プラジャーク弦楽四重奏団は2002年に札幌コンサートホールKitaraが企画したコンサートシリーズ「チェコ芸術週間」に出演し、その後も何度か来札している。この企画のコーディネーターを務めたのが萱原さんで、以来、お付き合いがあり、後に当会にも入会いただいた。その頃、プラジャークは既に欧米では評価が高かったが我が国では知名度が低く、東京公演すらなかったが、後にラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの常連となったことから人気が高まった。また、プラジャークは、Pragaレーベルに、チェコ作品はもちろん、ベートーヴェン全集をはじめとする古典派から、ロマン派、現代曲いたるまで幅広いレパートリーの録音を残し、高い評価を得ていた。

しかし、第一ヴァイオリンのヴァーツラフ・レメシュ氏が2年前から体調を壊し、今年になってメンバーがパヴェル・フーラ氏(コチアン弦楽四重奏団の第1ヴァイオリン奏者)に交代したことを知った。ファンとしてとても気がかりだったが、つい先日、萱原さんから、レメシュ氏の近況をうかがったので、ここにご紹介したい。

萱原さんによると、レメシュ氏は、完治不能な局所性の神経疾患を患い、演奏家として引退を余儀なくされたとのことだ。社会生活に問題はないものの、生涯をカルテットに捧げていただけに、心身ともにダメージが大きかったという。私はレメシュ氏ほど幸せそうに演奏する音楽家を観たことがない。それだけに氏が受けた痛手は想像にあまるもので、ファンとしても痛恨というよりほかない。

そんな中、レメシュ氏は今夏8月に来日し、名古屋の宗次ホール(※カレーハウスCoCo壱番屋の創業者がオーナー)主催のアンサンブルフェスタで若手弦楽四重奏団6団体を指導した。レメシュ氏は、スメタナ弦楽四重奏団のコホウト教授から習った時のエピソードなども交えながら情熱的な指導を展開し、充実した講習会になったそうである。この企画は大成功をおさめたため、来年以降も続けられる予定とのことだ。

第3回アンサンブルフェスタご報告(宗次ホール・オフィシャル・ブログ)
http://munetsuguhall.blog8.fc2.com/blog-entry-274.html

自らの指導で学生たちの演奏がみるみる魅力的になっていくのを目の当たりにし、レメシュ氏も第2の人生への確かな手ごたえを感じたようだ。このような機会をとおして、レメシュ氏の経験が日本の若手演奏家に受け継がれるならば本当に素晴らしいことだと思う。

一方、新生プラジャークは、第1ヴァイオリンの交代に伴い、レパートリーを全部仕込みなおさなければならず、「気が遠くなるほど大変だった」とヴィオラのクルソニュ氏がもらしていたそうである。しかし、彼らも再び精力的に演奏活動と録音に取り組み始めている。来年には再来日するとのことで、再会が今から楽しみである。レメシュ氏、新生プラジャーク共に今後の活躍を応援していきたい。
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