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ラドミル・エリシュカ再来日!(4/5 東京、4/11・12 札幌)

このサイトでも何度か紹介しているチェコの巨匠、ラドミル・エリシュカ氏が、4月に待望の再来日を果たします。

●【東京のオペラの森】ラドミル・エリシュカ指揮 東京都交響楽団
(1)日時:2008年4月5日(土)14:00開演(13:15開場)
(2)場所:東京芸術大学奏楽堂
(3)プログラム:
 ドヴォジャーク:交響詩「野鳩」
 ヤナーチェク:組曲「利口な女狐の物語」(ターリッヒ編)
 チャイコフスキー:交響曲第5番
(4)料金: 指定席 ¥3,000

●札幌交響楽団~第508回定期演奏会
(1)日時:
 A日程・夜公演 2008年4月11日(金) 開演時間 19:00
 B日程・昼公演 2008年4月12日(土) 開演時間 15:00
(2)場所:札幌コンサートホールKitara
(3)プログラム:
 ヤナーチェク/タラス・ブーリバ
 モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番 ハ短調K.491
 ドヴォジャーク/交響曲第6番 ニ長調op.60

 ラドミル・エリシュカ(首席客演指揮者)指揮 札幌交響楽団
 ピアノ:伊藤 恵

ラドミル・エリシュカ氏は、1931年チェコ共和国旧ドイツ領ズデーデン地方生まれで、今年、77才になります。ヤナーチェクが創設したブルノ音楽大学(ブルノ音楽アカデミー)に学び、彼の高弟ブジェチスラフ・バカラに師事しました。学生時代には、バカラも含めヤナーチェクを知る人がまだ残っていて、彼の逸話を色々聞いたそうです。1969年から90年まで名門カルロヴィヴァリ交響楽団(1835年創立、ドヴォジャークの「新世界交響曲」の欧州初演を果たす。)の音楽監督を務める一方、チェコフィルやプラハ交響楽団にもしばしば客演し、「プラハの春音楽祭」にも出演しています。現在はプラハ音楽大学(プラハ音楽アカデミー)において指揮科教授の任にあり、チェコ・ドヴォジャーク協会の会長も務めています。

このようにエリシュカ氏は長年、チェコ国内で音楽界の重鎮として活躍してきましたが、国際的にはほとんど無名の存在でした。これは共産政権時代に活動範囲がほとんど東側に限られていたこと、チェコ民主化後は主に教育者として活動していたこと、CD録音が全くなかったこと(国内でしばしばライブが放送されていた)によります。
 
2005年1月、エリシュカ氏は中部電力の主催するチャリティコンサート等に出演のため初来日し、名古屋フィルと東京フィルを指揮しました。この演奏はライヴ収録され、ラジオ番組「FMシンフォニーコンサート」で全国に放送されました。この放送は反響が大きく、番組司会者を務める作曲家の吉松隆氏もドヴォジャークの瑞々しい演奏を絶賛していました。そして、この録音を聴いた札幌交響楽団音楽監督の尾高忠明氏がその非凡さを認め、札響への客演が決まりました。

こうして実現した2006年12月の札響デヴューは、札響演奏史に残る伝説的な事件となりました。初日の客入りは知名度不足もあり、いまひとつでしたが、演奏会は大成功をおさめました。二日目はその噂を聞きつけた客で当日チケットは完売。この時のメインプログラムはリムスキー・コルサコフの交響詩「シェラザード」でしたが、札響から驚くべき色彩感を引き出した手腕に札幌の聴衆は感嘆しました。この公演の感想は以下に掲載されています。

ラドミル・エリシュカ、札幌交響楽団を振る

札響はこの快挙により、エリシュカ氏のため「首席客演指揮者」という席を新たに設け、招聘することを決めました。今回の定期は首席客演指揮者就任演奏会となります。


先日行われた札響定期のプログラムにも「チェコを語ろう」と題した楽員の座談会の記事でエリシュカ氏のことが語られていました。以下に関連部分を引用します。

森圭吾(首席fl)
2006年の12月定期で僕たちは初顔合わせをしたわけだけれど、まず最初のリハーサルにびっくりした。たったひと振りで、この人はとんでもなくスゴイ人だってすぐわかった。

石原ゆかり(vn)
そうそう!最初の一振りで出た音に、ほんとに驚きました。いつもの札響とはまるでちがう響きだったから。彼の体からあふれ出る音楽に、私たちか無意識のうちに反応したんですね。あんなこと、はじめて。


テンポか若かった! 曲にはそれぞれ固有の特別なテンポがあります。
そのテンポで演奏すると俄然イキイキと輝きはじめる。彼はそれを知りつくしているし、そのために毎日トレーニングしていると思う。

石原
「シェエラザード」にしても、エリシュカさんの指先に誘われてハープがポロロンって鳴っただけで、「これからどんな物語がはじまるんだろう?」ってわくわくしました(笑)。

小笠原優子(vn)
私は、みんな初めて演奏する曲だったし、細かな要求について行くのに必死でした。でも、その半年前くらいにチェコから帰ってきたところだったので、ああこのフレーズ感がチェコなんだなあ、って思うところがたくさんありました。

石原
同じところを何度も何度も練習したよね。ちょっとでも不満だと許してくれない。でもここをこうしろ、って言葉はほとんど言わない。だからみんなか自分で考えながら音楽を作っていきました。スークさん(※名ヴァイオリニストのヨゼフ・スーク)が、彼はすばらしい教育者でもあるよ、って言っていたけれど、ほんとにその通り。私たちがみんな、あの練習と本番を通して成長できたと思う。
(以上、札響第507回定期演奏会プログラム「チェコを語ろう」より)



エリシュカ氏は札響公演後、大阪センチュリー交響楽団にも客演し、オール・ドヴォジャーク・プロにより好評を博しました。

さて、エリシュカ氏の演奏の特徴とは何でしょうか。それは氏がロシア音楽を得意とされていることからも分かるように非常にスラヴ的なものです。一般的に「スラヴ音楽」というと民俗的な土臭さや熱っぽさの印象が強いかもしれません。しかし、エリシュカ氏の音楽を聴くと、瑞々しい叙情や、しなやかな呼吸感、ある種の洒脱さがあることに気付かされます。これは都会的な洗練とは異なる、自然な感情に根差したもので、他の優れたチェコの演奏家にも認められる要素です。しかし、エリシュカ氏の場合、このような特長が主な個性として、よりストレートに表れています。

これはノイマンやアンチェル等がドイツ的な色が濃いボヘミア、プラハの伝統を受け継いだのに対し、エリシュカ氏はよりスラヴ的なモラヴィア、ブルノの伝統を受け継いだためと考えられます。例えばノイマンが官僚的とも言えるほどかっちりした響きの中にスラヴ色を滲ませるのに対し、氏の音楽の根本には北欧音楽に通じるような純情さがあり、それが職人的な手腕により何の衒いもなく伸びやかに紡ぎ出されます。このような個性は、チェコの指揮者の中でもユニークで、私が思い当たるのは、氏が師事したことがある名匠カレル・シェイナや、「利口な女狐」等の録音を残しているボフミル・グレゴルでしょうか。そして、グローバル化が進む現在の音楽界にあって、氏のような音楽家はますます稀少になっています。

先の札響の公演では、お国モノのドヴォジャークはむろん「シェラザード」でも、エリシュカ氏のスラヴ気質が存分に発揮されていました。したがって今回の東京と札幌での演目は、氏の芸術を知るには最も適したものでしょう。特に札響定期で演奏されるヤナーチェクの傑作「タラス・ブーリバ」は、愛弟子バカラ直伝の版※によるそうでヤナーチェキアンとして期待が高まります。(※ヤナーチェクは記譜に荒っぽいところがあって、バカラはしばしば助手としてサポートしていました。バカラ直伝の版による演奏は作品本来の姿を知る上でも貴重です。) 

今回のエリシュカ来日公演はスラヴ音楽の真髄を聴く絶好の機会です。チェコ音楽愛好家として、一人でも多くの方が知られざる巨匠の至芸に触れることを願わずにはいられません。

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