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ドヴォジャークに関する入門書

ドヴォジャークは、これほどの天才には珍しく人柄が円満な立志伝中の作曲家だ。善良な彼に比べるとヤナーチェクなど自己中心的な性格破綻者といっていい(ワーグナーほどではないが)。ドヴォジャークは、ブラームス、ヤナーチェク、チャイコフスキー等、同時代の音楽家とも交流が深く、”チェコ音楽”というジャンルを国際的に広く認知させた。

このためドヴォジャークの生涯を辿るのは、実に興味が深く、気持ちが良いもので、研究対象としても多面的なアプローチが可能だろう。相当な数の本が出ており、日本語でも幾つか読むことができる。

ドヴォジャークに関する文献については、主要なものを北大スラヴ研究所の研究者で当会会員でもある福田宏さんが以下のページにまとめてくださっている。

ドヴォジャークに関する参考文献
(『フィルハーモニー』 2010年6月号 掲載記事への補足)
http://hfukuda.cool.ne.jp/dvorak.htm

私は、福田さんが挙げている文献の他に優れた入門書として以下を紹介したい。

ドヴォルジャーク―わが祖国チェコの大地よ (作曲家の物語シリーズ (4)) /黒沼 ユリ子著  リブリオ出版
 ISBN-10: 4897841631
 ISBN-13: 978-4897841632
http://www.amazon.co.jp/ドヴォルジャーク―わが祖国チェコの大地よ-作曲家の物語シリーズ-4-黒沼-ユリ子/dp/4897841631/


これは青少年向けの伝記なのだが驚くほど充実した内容だ。著名なヴァイオリニストである著者の黒沼ユリ子氏は、愛情あふれる筆致で、ドヴォジャークの生涯や作品、時代背景などを平易に記している。演奏家ならではの洞察も豊かで、特に少年時代については想像力をふくらませ活き活きと描いている。また、少々マニアックな事柄にも触れており(例えば、交響曲第1番「ズロニツェの鐘」の楽譜が発見された経緯等)、プラハのドヴォジャーク博物館等から提供された貴重な図版を数多く掲載している。

私は、ドヴォジャークが好んだウクライナ起源の民謡形式ドゥムカについて、鉄道建設のためチェコに来ていた出稼ぎ労働者から耳にしたのではないかという推測や、米国滞在中にニューヨーク・ナショナル音楽院で教えた黒人音楽家ヘンリー ・ハリー・タッカー・バーレイ(Henry Harry Thacker Burleigh, 1866-1949)との交流を描いていることに興味を惹かれた。バーレイは、ほとんどの本でさらりと名前が記されているにすぎないのだが。

バーレイは米国の黒人音楽家の草分け的存在で、人種差別の意識が強かったこの時代、ドヴォジャークは黒人音楽を積極的に評価し、バリトン歌手だったバーレイから教わった黒人の旋律を新世界交響曲にも取り入れたと言われている。”Deep River”や”Nobody knows the trouble I've seen”など多くの黒人霊歌を編曲したバーレイについては、また改めて記したい。
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