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W.F.バッハのチェンバロ協奏曲全集

今年は、大バッハの長子、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(Wilhelm Friedemann Bach, 1710-1784)の生誕300年にあたる。

W.F.バッハについては、以前、ここにも書いた。この作曲家の魅力を私に教えてくれたのは、ハイドンマニアでもある当会会員の畏友ISAT氏で、以来ぼちぼちCDを漁っている。どの作品も才気を感じさせる凝った作りだが、捻りがある分、座りの良い音楽ではないので、スタンダードな名曲とは認知されないのだろう。しかし、そこがかえってマニア心をくすぐる。ネット検索すると私と同じような隠れファンが結構居るようだ。W.F.バッハは、ここ十年ほどで研究が進み再評価の気運もあり、”大バッハの放蕩息子”という不名誉も徐々に改められつつあると聞く。しかし、大きな節目のアニヴァーサリーでも記念の企画はとんと聞かず、少々寂しく思っていた。そこにオランダの激安レーベル、ブリリアントから実に魅力的なCDが登場した。

●W.F.バッハ:チェンバロ協奏曲全集
・チェンバロ協奏曲へ短調、
・チェンバロ協奏曲へ長調F44
・チェンバロ協奏曲ホ短調F43
・チェンバロ協奏曲ニ長調F41
・チェンバロ協奏曲イ短調F45
・2台のチェンバロのための協奏曲へ長調 F10
・2台のチェンバロのための協奏曲変ホ長調 F46
 クラウディオ・アストロニオ(チェンバロ、指揮)
 ハルモニチェス・ムンディ
 録音時期:2009年11月
 録音方式:デジタル(セッション)

Brilliant Classics  BRL94057

これは曲も演奏も素晴らしい。W.F.バッハはヴァイオリンも巧かったらしいが、やはり本領は親父にみっちりと仕込まれた鍵盤楽器だ。このCDに収められたチェンバロ協奏曲も独奏曲と同様にユニークで、半音階で微妙に関節を外しつつ即興的に活躍するチェンバロの面白さは格別だ。どの曲も折り目正しく主題が提示され展開していくという感じではなく、はじめからチェンバロ独奏が刺さり込み、どこに着地するかわからないような奇妙な酩酊感があるものが多い。このような個性は気まぐれで構成感に欠けると評されるのかもしれないが、私などはむしろ開放感を感じてしまう。

時代的にはもう古典派のはずなのだが、スタイルはむしろバロック風。しかし、レコード芸術2010年5月号における安田和信氏の記事によると、ベートーヴェンの頃になってようやく一般化する技巧も使われているそうで、安田氏は「ひとり新旧論争」として事例を解説している。

本録音で独奏もこなしているイタリア人指揮者、クラウディオ・アストロニオと、彼が1998年に結成したピリオド楽器のアンサンブル、ハルモニチェス・ムンディ(※2006年からボーツェン・バロック管弦楽団に改称)は、今回はじめて聴いたが、既に録音も多く古楽界では中堅として評価されているとのこと。即興的な流れの良さがある痛快な演奏だ。才人のアストロニオは、ジャズやポップスのミュージシャンとコラボも行っているとのことだが、こんなアカデミックとは少しはずれた活動もW.F.バッハの演奏に巧く作用してるのかもしれない。

2枚組で千円以下だが、近頃はこれを繰り返し聴いている。暑さの中、気分をピリっとさせる音楽としてもちょうどいい。
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