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2006年CD十撰+α

遅ればせながら。新年おめでとうございます。
今年も当会と本サイトをよろしくお願いいたします。

本サイトを開設以来、今年で10年目、当会も結成以来9年目を迎えました。このサイトのアクセス数は最近では一日平均70-100程度、先月には累計15万を突破し、ヤナーチェクという作曲家とともに、当会の存在も一般に広く認知されたように思えます。

当会は、昨年、品切れしていたカーチャ・カバノヴァー対訳解説書を復刊し、ヤナーチェク年譜、マクロプロスの秘事対訳解説書を新たにラインナップに加えることができました。これで当会発行の出版物は8冊。「ブロウチェクの旅行」を残すもののヤナーチェクの主要なオペラ作品を全てカヴァーすることが出来ました。これも愛好家の方々の支持あってのことと感謝しています。こうした出版は、商業ベースに乗らない内容の本を自給自足してきたもので、執筆者、編集者の趣味が強く表れていますが、幸いいずれも好評で、先日来日されたチェコ・ドヴォジャーク協会会長のラドミル・エリシュカ氏にお会いした際にも、「本国チェコにもこんな本はない」と大変感心されました。今年は、品切れになっている「声楽の世界」を改訂の上、刊行する計画ですので、どうぞご期待下さい。

さて、それでは、このサイト開設以来続けている、年初めのCD十撰です。昨年は個人的にはとにかくマクロプロスに明け暮れ、このオペラばかり聴いていたように思えます。また歴史的録音を楽しむことが多く、往年の名演奏家の芸に心惹かれました。反面、新しい録音を聴くことが例年より少なかったように思えます。
順不同、旧録音含み、ここで単発で取り上げたものは、あえて除外しています。

①ジェズアルド:モテット集、ゴルリ:レクイエム 
ヘレヴェッヘ/ Ensemble Vocal Europeen
(輸入盤 HMF HMA1951320)
※HMFの廉価盤には収穫が多く、アンサンブル・オルガヌムの録音などが随分出ていたのが有難かった。ヘレヴェッヘは近年、器楽曲に意欲的なようだが、この人の本領はやはり柔らかな響きの声楽アンサンブルだろう。このジュズアルドはヘレヴェッヘの最良の部分が発揮されていて、時折交じる歪んだ響きさえしっとりと美しい。他にはシャインの「イスラエルの泉」もよく聴いた。

②ハイドン:ピアノ三重奏曲 ト長調/ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第11番/シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番
ロン・ティボー(vn)、パブロ・カザルス(vc)、アルフレッド・コルトー(p)
(輸入盤 NAXOS 8.110188)
※昨年はヒストリカルな録音を好んで聴き、コルトー、タリアフェロ、メイエ等などに凝った。これは1920年代のSPの板起しだが音質は案外良好で渋い音色が伝わってくる。ベートーヴェンはスクラッチノイズが目立つが鑑賞の妨げになるほどではない。伝説的なカザルス・トリオは巨匠たちの強い個性が、アンサンブルの味わいを相乗的に深めているのに驚くばかり。

③オケゲム:世俗音楽全集
ロンドン中世アンサンブル他
(国内盤 Tower Records Universal Vintage Collection PROA-40)
※タワーレコードの慈善事業に感謝。デュファイの世俗音楽全集といい、これらの名盤を日本語対訳付きで廉価で復刻してくれるとは誠に有難い。デュファイ、オケゲムともに中世の秋の物憂い雅を歌った傑作。ちなみに、タワーレコードのシリーズでは、エッシェンバッハによるヘンツェとベートーヴェンのピアノ協奏曲も良かった。

④プロコフィエフ:Vn協奏曲第1番、Vnソナタ1・2番他 
 シゲティ(vn)メンゲス&LSO他
(国内盤 PHILIPS UCCP3411)
※今年は国内盤でもこういう渋いシリーズの再発が目立った。よく言われることだが、シゲティは技術的な問題があるけれど、ユーモアのセンスがあって傷も味に転化してしまっているようなところがある。プロコフィエフは気鋭の奏者によりアグレッシヴに演奏された録音も多く、それはそれで良いのだけれど、このシゲティを聴いて改めていい曲だと思った。

⑤シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番 
 ユージン・イストミン(p)
(国内盤 SONY B000I6BM26)
※村上春樹が音楽エッセイ「意味がなければスイングはない」で取り上げたため、今回初めてCD化された録音。ユージン・イストミンのタッチは暖かく慎み深くウィットに富んでいる。強奏でも濁らない充実した音、端正なリズム。このピアニストを聴くのは初めてだが大変気に入った。シューベルトの17番など、こういう録音にあたらなければなかなか縁がある曲ではない。それにしても流行の紙ジャケというのは不便だ。

⑥ヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番、小品集[フェンビー編] 
ユーディ・メニューイン(vn)
 エリック・フェンビー(p)
(輸入盤 EMI 3705662)
※ヴァイオリン・ソナタが鄙びた味わいの心地よい演奏。メニューインのヴァイオリンは線が滲んでいて、フェンビーのピアノも上手いとはいえないが、それでも演奏者の作品に対する格別な思い入れが伝わってくる。いままで若手の演奏家による録音を聴いていたが、まるで違う曲のようだ。技術的にはそちらのほうが上なのだが。

⑦シューベルト:室内楽曲集5CD
 カール・エンゲル(p)、ウルフ・へルシャー(vn)、オーギュスタン・デュメイ(vn)、ジャン=フィリップ・コラール(p)、ドムス四重奏団
※EMIによる5枚組の廉価セット。どれも上質の演奏だが、特にウルフ・へルシャーとカール・エンゲルのヴァイオリンソナタが気に入って、繰り返し聴いた。
(輸入盤 EMI CZS 3573512)

⑧ドヴォジャーク:チェロ協奏曲、ピアノ協奏曲
 ランチシェク・マクシアン(p)
 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)
 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴァーツラフ・ターリヒ(指揮)
(輸入盤 Supraphon SU3825)
※Supraphonがアンチェル・エディションに加えて、ターリヒ・エディションをリリース。胸が熱くなるようなドヴォジャーク節に元気を貰った。若き日のロストロポーヴィッチが生気溢れるソロを聴かせてくれる。

⑨クルターグ:ソプラノための作品集
物音の記憶、小説からの情景、亡きR.V.トゥルソヴァのメッセージ~ソプラノと室内アンサンブルのためのリンマ・ダロスの21の詩op.17
アドリエンネ・チェンジェリー(sp), アンドラーシュ・ケラー (vn)他
(輸入盤 Hungaroton B0000030A7)
※生誕80年の昨年、ヨーロッパでは記念行事が開催され、私のクルターグ熱も一層高まったが、残念ながら我が国ではまだまだマイナーなようだ。余白を生かし、一音一音の美しさに集中する簡潔な作品は、書や俳句、能楽に近い美意識で日本人向けのような気がするのだが。それでもケラー(Vn)&パンゼ(Sp)によるカフカ断章(ECM)はレコードアカデミー賞を受賞したのは喜ばしい。このHungaroton盤では、カフカ断章の原型のような曲が聴ける。他にクルターグの肖像を描いたドキュメンタリー映像「マッチ棒男」も、この作曲家の人柄がよく表れた大変興味深いものだった。
最新作はアムステルダム在住の日本人奏者、菊地裕美(vn)、波木井賢(va)のために書かれた大作<コンチェルタンテ ヒロミとケンへ/Concertante for violin , viola solo and orchestra Op.42>( 2003 作曲 2004年9月コペンハーゲン初演>、<ヒ・パルテイータ(ヒロミへのパルテイータ)Hipartita Op.43 >(2000-2004年作曲 2005年9月 ベルリン・フィルハーモニー初演>で、早く聴いてみたいもの。(降矢美彌子研究室に関連情報あり)

⑩ワーグナー:楽劇『ニーベルングの指環』全曲 
ジョン・ケイズ(ジークムント)、クルト・リドル(フンディング)、ナディーヌ・セクンデ(ジークリンデ)、ジャニーヌ・アルトマイヤー(ブリュンヒルデ)、ヨーン・ブロヘラー(ヴォータン)、ラインヒルト・ルンケル(フリッカ)、他
ハルトムート・ヘンヒェン指揮 オランダ・フィルハーモニー管弦楽団
ピエール・オーディ演出(輸入盤 Opus Arte 11DVD)
※原作の世界観を尊重し、革新的過ぎず、保守的過ぎない演出が良い。石岡瑛子の衣装が秀逸(ジークフリートは旅のお侍さん風)。ヘンヒェンは舞台上に上がったオーケストラにより見通しのよい演奏を聴かせ、歌手も粒ぞろい。メイキング・ドキュメンタリーや楽曲解説など特別編も充実し、映像、画質共に良く、指輪初心者にも薦められるソフトだと思う。それにしても限定版とはいえ日本語字幕付きの11DVDが一万円を切っているのだから安くなったものだ。

(番外1)洋楽渡来考(皆川達夫監修)
橋本周子指揮、グレゴリオの家聖歌隊、
松村玲子指揮、岩手県立不来方高校音楽部 他
(日本伝統文化振興財団、B000CNECA4)
※桃山時代に我が国に伝わったグレゴリオ聖歌と、その後の弾圧により変形した「かくれキリシタン」の「オラショ」 を収録。資料的な価値が高いのはもちろんだが、日本人が演奏するグレゴリオ聖歌が本当に巧く、これだけでも十分鑑賞に値する。是非分売して欲しい。

(番外2)山田耕筰:長唄交響曲「鶴亀」、交響曲 「明治頌歌」、舞踊交響曲 「マグダラのマリア」
湯浅卓雄指揮、東京都交響楽団
(輸入盤 NAXOS 8557971J)
※長唄交響曲「鶴亀」はゲテモノかと思ったら意外に良い。邦楽と洋楽をクロスオーヴァーする試みの作品は多いが成功しているものは少なく、両者はやはり全く異質なのだと思うが、この曲はあくまで邦楽が主でそれにオケが効果を添えているという風であまり違和感はない。邦楽陣が充実。「明治頌歌」、舞踊交響曲 「マグダラのマリア」も雄弁な力作だが、独創性は案外少ないように思う。何しろ明治のエリートだから伊福部みたいにハチャメチャやるわけにはいかないのかもしれない。片山杜秀氏の解説は相変わらず読み応えがある。
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