スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

中野振一郎のゴールドベルク変奏曲

昨日、日本を代表するチェンバリスト、中野振一郎によるバッハの演奏会を聴いてきました。この公演はNHKのFM番組「ベスト・オブ・クラシック」の公開収録用に開かれたものです。

○2006年5月27日(土) 北広島芸術文化ホール 花ホール
バッハ:イタリア風アリアと変奏
 ゴールドベルク変奏曲

中野振一郎(cemb)
※放送予定 NHK FM 6月5日(月) 19:30-21:10


まず感じたのが、思ったより音が小さいということ。チェンバロがピアノのように鳴らないのは当然だが、それでも以前聴いたチェンバロの演奏会よりなお音量が小さいような気がする。楽器が小振りなためだろうか。

その分、耳を澄まさなければならないが、集中して聴くだけの充実した内容がありました。中野さんは、大変な技巧の持ち主だが音楽の流れに誇張されたところがなく、少々地味なくらい慎ましやかに音楽を紡いでいく。しかし、決して平板な表現ではなく精巧な工芸品のように何気なく細部まで気が利いている。これがとてもいい。溌剌とした舞曲のリズムを強調したもっと派手な演奏もあるが、この人の関心は専らチェンバロの響きの精妙さにあるようで、今回のプログラムは、そのような個性を味わうには適したものでした。

バッハの初期の作品「イタリア風アリアと変奏」は、題名の印象に反してリュート曲のような古雅な音楽。そして演奏時間が90分にもおよぶゴールドベルク変奏曲。

中野さんは、この大曲について当日のプログラムノートで次のように書いています。

もっと良くしようなどとおこがましいことは考えずに、ただ一つの型で淡々と朗読を続ける・・・いうなれば修行僧の長大な旅ということになるでしょうか。・・(中略)・・全体にその性格描写は「イタリア協奏曲」や「半音階的幻想曲」で見せるようなきらめきのあるものではなく、やはり音符が延々と続いてゆくなかでつむぎだされる「音色の美」がテーマ。

今回のゴルドベルク変奏曲はまさにこの言葉通りのもの。途切れなく続くパッセージはピアノで聴くと躍動的な線として響きますが、中野さんの演奏ではより静かで安定した響きの一部として鳴っていて、絵の具をスーッと流しながら調合していくようなうつろいと、淡々とした流れの中に時折浮かび上がる華やかさ、特に曲の前半と後半の変奏の性格の対比を大変面白く聴きました。

中野さんのゴルドベルク変奏曲はちょうど来月、新録音がリリースされるようです。この新譜と合わせスカルラッティの録音なども是非聴いてみたくなりました。
スポンサーサイト

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

Pilsner

Author:Pilsner
発話旋律 "Speech Melody"
日本ヤナーチェク友の会公式サイト管理人Pilsnerのブログ
チェコ音楽を中心にした音楽雑記帳です。
The blog by the chief manager of Janáček Association Japan
http://twitter.com/#!/janacekjapan

カレンダー
04 | 2006/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

Visitors
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。