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萱原祐子さんによるヤナーチェク・ピアノ曲集

萱原祐子さんによるヤナーチェクのピアノ曲集がデンマークのオルフセン・レコードより発売されました。萱原さんは、プラジャークSQの共演者として Pragaレーベルへ既に数点録音しており、1998年にディアパゾン・ドールを受賞したヤナーチェクの録音をはじめとしていずれも高い評価を受けていますが、今回のソロレコーディングも期待にたがわず素晴らしい内容です。

萱原祐子のヤナーチェク


ヤナーチェク:ピアノ曲集
 ・草かげの小径にて
 ・ピアノ・ソナタ 1905年10月1日『街頭から』
 ・ただ先の見えない運命のみ
 ・霧の中で

萱原 祐子(P)
(輸入盤:Classico) CLASSCD 701 

萱原さんのピアノの特徴としては、木質感のある骨太な音色、室内楽で鍛えた、楽句のアクセントと「間」を捉える巧みな呼吸、そしてダイナミックな表現があげられるでしょう。2年前に初めて萱原さんのライブに接したときには、なんと男性的なピアノを弾く人だろうと思ったものですが、このような音楽性をプラジャークSQが気に入り、まだ無名だった萱原さんを共演者に抜擢したのはまったく納得できることで、力強く彫りの深い音楽を志向するという点で両者には共通したものがあったのだと思います。

このヤナーチェクの録音でも萱原さんの個性が活きた大変ユニークな表現となっています。例えば「草陰の小径」では、この曲のオリジナルの楽器であるハルモニウム(小学校にあるオルガンですね)の素朴さを意識した、低く柔らかな声でつぶやくような響きをベースにピアノの音色を変化させ、奥行きのある心象風景を描くことに成功しています。「フリーデックの聖母マリア」や「おやすみ」の音色の妙、「ふくろうは飛び去らなかった」の切り裂くようなパッセージの鮮やかには特に惹かれました。

「ソナタ」や「霧の中で」は、内省と激情のバランスが難しい音楽ですが、萱原さんの演奏は、感情的な色づけを抑え目にして、ピアノの深い響き自体に音楽を語らせることに徹し、作品本来に備わっている力強さや幻想味、孤独感を浮き立たせているのが印象的でした。特に「霧の中で」は、様々な曲想がもつれ合うので、よほどヤナーチェク節のツボを押えていないとまとまりにくく、ややもするとガシャガシャとした響きに陥ってしまいがちですが、タイトルに相応しい瞑想的な雰囲気の中、響きの遠近感、緩急の対比を駆使して、説得力のある演奏を展開しています。また、これらの重たい曲の合間に、珠玉の小品「ただ先の見えない運命のみ」を置いたのも心憎い配慮です。

ヤナーチェクのピアノ曲は随分録音が増えましたが、この録音はヤナーチェクのスタイルを熟知した上で、作品に新たな光を当てた注目すべき演奏です。すれっからしのヤナーチェク・ファンとして強く推薦し たいと思います。

※なお、このCDは萱原祐子さんの公式サイトより購入できます。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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日本ヤナーチェク友の会公式サイト管理人Pilsnerのブログ
チェコ音楽を中心にした音楽雑記帳です。
The blog by the chief manager of Janáček Association Japan
http://twitter.com/#!/janacekjapan

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